ドラえもん(2)

ドラえもん 2 (藤子・F・不二雄大全集)

ドラえもん 2 (藤子・F・不二雄大全集)

第2巻は'70〜'75年分の63作品収録。パンチの効いた初期ドラは1巻に続いてこれまた傑作揃い。

  1. ドラえもん登場!:まるっきり知られていない「小一」版第1話(10年前に「ドラえ本3」で復刻されている)。ドラの設定は「未来からきた」というだけで小二版よりさらに簡略化されている。小一向けなのにのび太のダメっぷりが殊更強調されている感じ。2度と登場しない親戚のおじさんも出演。
  2. アタールガン:子供のくせにカウボーイスタイルのスネ夫のび太の射撃上手の設定はまだない。
  3. タイムテレビ:「ドラえもんの大予言」と似た展開かと思いきや、こっちのほうがひねられてて面白い。しずちゃんのなわとび首絞めは「あらかじめ日記」でも予言ネタに絡んで使われる。
  4. ペタリぐつとペタリてぶくろ:初期だからこそ読める、(低学年向けなのに)道具よりもストーリー主体の読み応えのある話。結構感動的な展開。しかしたまお君の両親は障害のある息子を放ってどこに住んでいるのだろう?タイトルの道具はなんと25年後の長編「のび太と銀河超特急」で再登場する。
  5. ロボットのガチャ子:幻のキャラクター、アヒル型ロボット・ガチャ子が登場。この話に限ってはドラよりもガチャ子のほうが役立っているように見える。この学年向けのドラえもんでは、ガチャ子はこの1回で姿を消す。居候には至らなかったようだ。
  6. お化けたん知機:ドラとお化けたちの絡みが楽しい傑作。オチに至る話のテンポも完璧。ドラ世界にはツチノコネッシーなど大抵の幻の動物が実在するが、お化けまでいるのか。幻のスネ夫の弟・スネツグが全編に渡って「普通に」登場。
  7. ねがい星:転んで道具が飛び出すって、大丈夫なのか四次元ポケット?初期にありがちな、スネ夫母子が道具の被害を被る展開も。
  8. ふしぎな海水浴:「行かない旅行の記念写真」でのび太が振り返っていた海の話。どこでもドア以前の時代。水手袋、カメスーツなど、夏向きの道具満載で楽しい。珍しいママの水着姿も公開。
  9. くすぐりノミ:「ペタリぐつ」と同じような街の怪しい家の秘密に迫る展開。だが今回は特に秘密も何もなかった。結局おじさんの顔がヤバすぎるだけでした。ワンハハハハ。
  10. 引力ねじ曲げ機:リフトストック並の危険な機械。スネ夫のおしっこが空へ向かって飛んでいくのがシュール。ところで付き添いのあのお兄ちゃんは誰?近所の兄ちゃん?
  11. 人間あやつり機:22世紀のくせに、脳波を操るのではなく手足を強引に引っ張って操る道具。そりゃあ役立たないだろう。そして操作ボタンの区別がつかないという致命的な欠点が。
  12. ガンじょう:「きらわれよさぶろう」って凄い名前だ。自己紹介乙、って感じ。しかし初期は税金とる暴れん坊が街にやってきたっつう展開多いなあ。
  13. ネンドロン:ガンじょうの続編。ここまで明確に続いているのは珍しい。そしてオチはまたスネ夫母子。スネママの整形後の顔が放送禁止レベル。「お前もおばけにしてやるざます」ってのも後年の甘やかしママにはありえない台詞。
  14. かぜぶくろ:一家に1つ欲しい道具。使い捨てらしいけど。ジャイアンの鼻水噴射を見ても助けようとせず「あれをわたしにうつすつもりだったの」って・・。
  15. わすれろ草:登場人物たちの道具の使いこなしがうますぎる。おもらしオチはのび太にとっても定番だが、初期はスネ夫率高い。おむつしてる設定だったしね。
  16. ロボットカー:夢の自動操縦車。一般道を走っても大丈夫らしい。性格に難有りなのはバギーちゃんも一緒か。
  17. たねのない手品:これが発明されたらもう手品師っていう職業で食っていける人はいなくなるんだろうな。最後のコマのママの顔が違うのはご愛嬌。
  18. スケスケ望遠鏡しずちゃんの入浴シーン初公開!とはいえ湯船の中なので控えめな感じ。小池さんも登場。オチにはまたスネ夫母子が。
  19. アベコンベ:ドタバタパニック的傑作。町中へ一瞬で波及し、大ゴマで大パニックと言う展開が腹がよじれるほど笑える。あの靴と帽子が逆になったオヤジは何でしかめっ面なの?面白すぎる。
  20. 宝くじ大当たり:道具で金儲けをするな!といいつつ、金儲けがしたくなって奮闘するも、結局できなかったという話。パパの不運っぷりが泣ける。
  21. 黒おびのび太:2作続けてパパオチである。別にわざわざ机を離して飯食う必要はなかろうに。しかも「ほどけるまで」って何だよ。かわいそう。
  22. 石器時代の王さまにのび太は原始時代に行ってもダメというお話。晩のおかずに、と殺されかけてるのに笑顔ののび太がバカすぎる。野比家の先祖?だけ服を着てない。
  23. お天気ボックス:珍しく、やけに好戦的なのび太。お天気ネタって結構多いなあ。
  24. メロディーガス:オナラで歌を歌えるという、隠し芸以外に用途の無いバカバカしい道具。ハトポッポの歌詞が絶妙に「アレンジ」されているあたりが芸が細かい。しずちゃんの「ヘ長調ね」というコメントに爆笑。
  25. お金なんか大きらい!ドラえもんがいつもにまして無責任。そしてまたパパが道具でいじられる。落ちてるキャンデーを勝手に食う奴らもどうかと思う。
  26. いつでも日記:「タイムテレビ」同じような予言系の話だが、こちらのほうがさらに話が良く出来ており、間違いなく傑作。先が読めない展開にハラハラ?する。ドラえもん、最後のコマだけ解説しに出てくんなw
  27. 物体瞬間移動機:ヒネリのない道具名。中身もそのまんま。なぜこんな犯罪を助長するような道具があるのやら。
  28. コベアベ:アベコンベとは似て非なる道具。「お風呂に入ってきれいになるんだ」と、フリとしか思えないドラの行動。しかし犯罪者の多い街だな。
  29. スーパーダン:スーパーマンのパロディとはいえもうちょっとネーミング何とかならんかったんかw 押し掛けヒーローは迷惑だ。
  30. おはなしバッジ:F氏お得意のこじつけ展開満載。よくもまあこんな話を考えられるもんだ。最後のセワシのセリフがてんコミ版と微妙に異なるような?
  31. ゆめふうりん:ガキ大将に憧れるのび太。気持ちは分からんでもないが、パパが可哀想。そして念願かなってガキ大将になっても何もできない。
  32. ぼくの生まれた日:これは名作。のび太が、自分は本当の子供じゃないのかもと疑って、10年前を見に行くが・・・。親の顔が見たいなどツッコミ待ちの場面多数。最後のコマはちょっと泣けるが、ドラえもんはもうちょっと微笑ましい表情をしててもいいんじゃないか。
  33. 悪運ダイヤ:良心と悪意が渦巻く話。ゴチゴチ頭をなぐりながら歩くドラとのび太ははたから見たらただのキチガイだ。そしてジャイアンはもともとは悪くないのだが。
  34. 友情カプセル:ドラのびが友情を再確認するところが何だかイイシーンだ。この話ではスネ夫は完全に悪党。こういう頭脳戦はジャイアンよりスネ夫に合うね。
  35. 世界沈没:うーん、傑作だ。1つの謎をめぐって物語が動き、ラストに向かって収束していく様が非常によくできてる。わずか1コマで全ての真相が明らかになるオチは脱力すること間違いなし。
  36. この絵600万円:現代(昭和47年)と昭和24年を行ったり来たり。「このへんは昭和43年にぶっこわしてボウリング場になるんだよ」というセリフが何故か忘れられない。
  37. 温泉旅行:家族旅行をテーマにした数少ない作品。ほんとは狭い部屋だからという台詞通り、どこかスケールの小さくみみっちい感じがまたいい。
  38. 大きくなってジャイアンをやっつけろ:ここへきて「けんかマシン」の名がまた出るとは。伝説レベルに役立たない道具も2つ登場。「なにをねぼけてやがる」というジャイアンの返しがいいなぁ・・。
  39. 未来世界の怪人ジャイアンがいつも以上の悪党に。世界征服までたくらむ。確かにできそうだが。くすぐりノミなど、小二で登場した道具との再会もあり。
  40. ハイキングに出かけよう;記念すべき、ドラミ初登場の話。しかしこの後本編には長らく登場せず。後年の優等生とは少し違う奔放な性格のドラミ。これはこれで可愛いが。ドラミを「あのチビ」扱いするのび太もこの1回きり。
  41. ジキルハイド:これまたジャイアンが手強い回。のび太とジキルハイドのび太の性格のギャップが凄い。切れた途端に「ショボ」って擬音もまた情けない。
  42. アパートの木:少年少女の夢を叶える秘密基地を作る道具。しかしごっことはいえ一晩でうずもれるってのも危険だこと。
  43. のび太漂流記:ひとりで旅に出たものの、結局ドラえもんに助けられっぱなし。ただ始めからドラえもんをあてにして旅に出たわけではないのでちょっとは偉いか。ちょっとは。
  44. キャンデーなめて歌手になろうジャイアンの公害的な歌が全国的に知られた話。全国のテレビが壊れ、救急車がてんてこ舞いってどんだけだよ。
  45. ぼくを、ぼくの先生に:こりゃあ家庭教師をつけたくなる気持ちも分かるわ・・。クラスで2番になるかもねって、1番じゃないのか。のび太は高校生になって少し体格変わるんだね。
  46. こっそりカメラスネ夫、盗撮とか悪趣味過ぎる。そしてそれを見て笑うみんな、おまけに「いつだれにみられても恥ずかしくないように生活」って無理だろ!最後のビデオはぜひ上映するべき。
  47. ミチビキエンゼル:この道具自体は悪くないと思うのですが。ただ使い方が悪いというのと、自分で外せないのがね。「それは、もちろんアカンベエしなさい」で素直に従うのび太・・。
  48. イイナリキャップ:本物のライオンと会話したり、食われそうになるというとんでもない話。バターを塗った体で服を着るなんて想像しただけで気持ち悪い。
  49. 宝さがし:数多い宝さがし話のひとつ。ムナシおじさんという冴えないキャラが1回きりの登場。最後の最後まで結末が予想できない展開で面白い。
  50. シャーロック・ホームズセット:ちょっと長めの謎解き話。ステッキの倒れる方向が絶妙で「あれ?」ってなる。うまいことやるなあと。結局のび太がボンヤリしてるのが悪いだけという結論か。
  51. ママをとりかえっこ:最大の謎は、なぜジャイアンがいないのかということか。一番個性のあるママだと思うのですが。親だって人間だもんな、というちょっと教育入った話。最後は弁解しようがない。
  52. 変身ビスケット:変身過程の「ヒヒヒン」とか「ケッコウケッコウ」とか、顔が微妙に変わっていくあたりが笑える。'74年の作品だがてんコミではなぜか第3話に入っていた。
  53. ○○が××と△△する:いわゆる世界操作ギャグ。月並みな感想だが、よくできてるなあ・・・。最後は物言わぬオチ。チューなんて書かずにキスと書いておけば良かったのに。
  54. タヌ機:どう考えてもタヌキに似てるのはドラえもんなのに、当時はのび太がタヌキ扱いされていたのだ。バカされた瞬間に陶酔するドラえもんが面白すぎる。
  55. 人間製造機:恐怖の道具。勝手に道具をいじるのび太が憎い・・。しずちゃんに「2人で赤ちゃんを作る」ことを誘うのび太と過剰反応をみせるしずちゃん。早熟ですねえ。
  56. 世界平和安全協会?:街の嫌われ者シリーズ。しかしこういうことする連中ホントにいたんだろうか?横領罪なんだから、警察に言ったら一発解決な気もするのだが。
  57. 赤いくつの女の子のび太の幼少時の淡い恋物語。結局、ノンちゃん側にはしこりもないまま今もアメリカで暮らしてるわけか。ていうか当時しずちゃんは?
  58. ラッキーガン:常に1/4じゃないとあんまり意味がない道具のような気もする。臆病で卑怯者なうえにドジなのび太と意外と度胸あるスネ夫が対比的。「ドジャン」のビジュアルショックが強烈。
  59. ジャイアン乗っ取りしずちゃんがいかにしっかり者かということがよくわかる。それにつけてものび太の情けなさよ。道具で卑怯なことをしようとしても、うまくはいかないのね。
  60. 流行性ネコシャクシビールス:しゃれ子ちゃんは同級生なのか?のび太がエロ精神全開で超ミニスカートを流行らせようとする。「もっともっともっと短く・・・」どこのエロオヤジだお前は。
  61. 見たままスコープ:「いやな人!」としずちゃんのちょっと色っぽいツッコミ。さすが六年生。しかもいとこばっかり見てるのび太に軽く嫉妬。立ちションを見せられるセクハラまで受ける。
  62. マッド・ウォッチ:時計を持った人にに触れていれば一緒に時の流れを抜け出せるらしい。前話に続いてしずちゃんが大人っぽく、ウダウダのび太にちょっと冷たい。終盤ののび太はどうしようもない・・。
  63. ツチノコ見つけた!:「ぼくももうすぐ中学生」で始まる卒業間近の小六生へのエール。ツチノコという時代の産物がテーマ。「剛田武?どこかできいたような・・」どっかでじゃねーよw 2045年ツチノコブームは来るのか?ジャイアンツチノコを見つけたその後は特別資料室で。これはカットする必要なかったのでは。