エスパー魔美(2)

エスパー魔美 2 (藤子・F・不二雄大全集)

エスパー魔美 2 (藤子・F・不二雄大全集)

  1. エスパーコック:超能力はおまけ程度にしか登場しない、一休み的な話。が、高畑には最大の危機が訪れる。魔美の殺人的な料理の腕が判明する回。「ドウ」と壮絶に倒れる魔美がインパクト大。
  2. 地底からの声:夏らしいホラー仕立ての行楽話。結局何も無かったのに、魔美の超能力と異常なほどの怖がりっぷりがかえって恐怖を招いてしまう。結果的には、タクシーの運ちゃんにも仕返しできたが・・・。
  3. 黒い手:全作品中屈指の暗く重苦しい話。交通事故で子どもを亡くした親が、事故を起こした若者に復讐をしようと画策するが。高畑の「してあげられることは、なにもない」という台詞が真理をついていて悲しい。
  4. うそ×うそ=?オバQの「放送屋」こと細矢さんがまさかの再登場。幻のカマイタチにまつわる話で面白いんだが、さすがに全国に話が流れるくだりが現実味なさすぎる。迷信を信じない高畑がやけにのってるのも不自然。
  5. 天才少女・魔美:こんなところにまでフニャコフニャオが登場。ヒゲのせいかちょっとライオン仮面時代より年をとった感じが。原稿が遅れて逃げまわるなど、相変わらず。「暁のスーパーマン」は見るからに人気出なさそうな感じだが・・・w
  6. スランプ:魔美の超能力のスランプ、ピストルを奪って逃げまわる若者、自殺しようとする往年の人気歌手という3つのテーマが交錯する傑作。3人が屋敷で出会って奇妙な連帯感を生み、全てが解決へ向かってしまう。最後の2人のセリフが何か幸せを感じる。
  7. 虫のしらせ:魔美の小さな予知能力が開花。虫の声を聞きに訪れた空き地の地中に埋まっていたのは・・・。あと一歩で死傷者多数の大惨事となる事故を食い止めたのは、自尊心を傷つけられながらもお稲荷様の使いを演じたコンポコ。
  8. 弾丸よりもはやく:ブラック・キューピッドの大統領暗殺計画を食い止めるという、やけにスケールの大きな話。魔美が生死を懸け、緊張感も抜群だが、国家レベルの話の大きさに中学生が介入しちゃうのはさすがに現実味が薄い。冒頭から結末にいたるまでパーマンの「キューピッド・ジム」(全集4巻)の影がうっすらと。
  9. のぞかれた魔女:かねてより嫌な隣人として描かれていた陰木さんとの全面対決・前編。お人好しの魔美ですら「大っきらい」と言い放つのだから相当な物。エスパーであることを突き止めるべく、複数人でストーキングを実施という嫌な展開。最後は若干シコリが残る結末で、次回へ続く。
  10. 電話魔はだれ?:前回の続きの決着編。「謎の怪電話」と「幸せの黄色いハンカチ」という一見何の関係もなさそうなふたつの物語が並行して進んでゆき、最後の最後に点と線が一気につながる小気味良い展開。しかしまあいくら生きていくのが辛いからって八つ当たりの悪戯電話は人間としてヒドすぎるよ。
  11. エスパークリスマスドラえもんのあばら屋くんを思い出す、貧乏一家とのクリスマス。高畑君の「やすっぽい同情はその子たちのためにならない」というシビアな意見に、なるほど・・・と唸ってしまうが、結局彼も人間らしいところを見せる。そんな融通がきくのも彼の良いところだ。
  12. ずっこけお正月:お正月ということで大した事件は(一応)なく、軽い感じのギャグ話。陰木さん一家の変貌っぷりに驚く。息子はあのときハンカチの話をしたのが魔美だと気付いているのだろうか?ジャイアンスネ夫もゲスト出演。
  13. 雪の中の少女:高畑君への手紙で始まる変わった展開。スキー場へ行ってもエスパーは大忙し。遭難救助である。だがエスパーの存在を知られないよう、全面的に自分が出ずに間接的に助けるやり方をとっているあたり、魔美がそれなりに成長しているのが分かる。  (2011/2/20 記)