パーマン(3)

パーマン 3 (藤子・F・不二雄大全集)

パーマン 3 (藤子・F・不二雄大全集)

この巻からは学年誌掲載作品。一応サンデーが本編扱いではあるものの、学年誌、それも低学年版にも読み応えのある話が多く描かれており侮れない。3巻は小二・小三編。収録された39話のうち、てんコミ収録話はわずか4話のみ! 想像以上に学年誌掲載話が冷遇されてきたのが分かる。この巻では、大きな事件があっても3号までしか出てこないことが多く、パーやんの登場話数はかなり少ない。また、パー坊に至っては1話しか登場しない。小三の後半は横長の変形判も登場する。
【小学二年生編】

  1. パーマンとうじょう!(小二 67年03月号): 「小二」版第1話。3月なのでひなまつりに絡む話。カバ夫やサブにいじめられて自己嫌悪に陥ったみつ夫が、唐突に現れたスーパーマンにマスクとマントをもらうというサンデーと似たような流れだが、戦う相手はカバ夫とサブ。悪と戦うのはこれから。
  2. お花見騒動(小二 67年04月号): 2号と2人でお花見に。戦う相手は迷惑な酔っぱらいだが、ここでパーマンはちょっと名を売る。それにしてもコピーロボットの使えなさ具合がいきなり目立つ。みつ夫自身の生き写しだけど。
  3. ロボット・ゴリアテ(小二 67年05月号): ようやく敵らしい敵と戦う。相手は突如暴走を始めた工事用ロボット・ゴリアテ。苦戦しながらもコピーを賢く使って勝利。TVでも実況付きで中継され、一気に名を上げる。スポンサーの宣伝に抜かりがないキャスターが笑える。
  4. ラッパでとんでこい(小二 67年06月号): 迷惑なちびっ子に目をつけられ、特に何の事件もない1日が事件だらけの1日に。「おもちろいわ」「おもちろくないっ」。
  5. 腹ペコ怪獣あらわる(小二 67年07月号): 何の説明もなくパー子いきなり登場。既にTV放送も始まってたので説明は必要無いのか。3人で仲良くハイキングに行くも、山に怪獣が出るとの噂を聞きつけて調査に向かう。見つかった怪獣の正体はあまりにも拍子抜け・・・。
  6. 真夏のスキー(小二 67年08月号): 真夏にスキーをするために、北極から氷を持ってくるというくだらない大仕事。北極近くで遭難し、地元民に救われて九死に一生を得る。しかしあんな巨大な雪を飛行機に乗せたら即墜落じゃないか?
  7. あらしを吹きとばせ(小二 67年09月号):9月恒例の台風話。台風の怖さを全く分かってないみつ夫だが、いざパーマンになると多くの人達を救う。洪水で取り残された人々も、遊びで作った方舟で結果的には全員救出。久々にヒーロー的活躍。
  8. 運動会で一等とろう!(小二 67年10月号): パーマンセットを使って運動会で1等を、という卑怯極まりない話。しかし、パーマンマスクをかぶったその上から粘土細工の巨大みつ夫マスクを被るという手の混みすぎた手法が可笑しい。どう考えてもバレるっつーの。結局最後は自力で勝利。
  9. 兄さんをパーマンの弟子に(小二 67年11月号): みつ夫をパーマンの弟子にしてくれ!とガン子が余計なお世話としか言いようがないお願いを。みつ夫がみつ夫の弟子になってどうする。パー子のナイスフォローもあって結果オーライ。
  10. 飛行機強盗(小二 67年12月号): チンケな町の犯罪者が多い中、やけに手の込んだメカを使う飛行機強盗集団が登場。その手口からの謎解きに始まり、最後はパーマン飛行機で撃退。結構な大仕事なのに、オヤツを賭けるあたりがみみっちい・・・。
  11. とうめい人間(小二 68年01月号): 2ヶ月連続で本格的犯罪者との戦い。透明人間のクスリを一口飲んで逃げまわる悪い奴。帽子を木に吊るして偽装したり、マスクを脱がそうとして脅したり、かなりズル賢い面を見せる。最後の最後まで本当の姿は見せず。
  12. ワスを弟子にして(小二 68年02月号): ハタ迷惑な頭のおかしい押し掛け弟子入りオッサンが須羽家に押しかける。おまけにパーマンセットを奪って「このままくにへ帰ろかな」とぬかす。何かの事件を1コマで片付けるみつ夫がカッコイイ。
  13. ガン子誘拐事件(小二 68年03月号): ガン子はすぐ告げ口をする嫌な妹だが、いざ誘拐されてみると・・・いややはり誘拐先でもガン子はガン子。マイペースで誘拐犯もタジタジ。さすがだ。パーやんは小二では一切登場しないが、この話で名前だけ登場。
  14. 西部劇強盗(小二 68年04月号):西部劇サーカスなんて実際にあったんだろうか。ジョン・ウェイン主演の「サーカスの世界」('62)で西部劇サーカスが出てくるらしいが、着想はそこから? パーマンたちも間抜けだが、強盗団がそれに輪をかけて間抜けだったので勝利した感じ。強盗団の1人が「ねじ巻き都市」の熊虎鬼五郎に見える。
  15. パーマンを見習おう(小二 68年05月号):パーマンが子供たちのお手本とされ、みつ夫が「ほんとうにぼくはえらいのだろうか?」と自分を省みる。何だかんだで小学生だからね。パーマンになることで彼が少しずつ成長していく一面が垣間見える。
  16. みつ夫くんが三人(小二 68年06月号):パーマンがほとんど出てこない、みつ夫の日常話。嫌なことはコピーを身代わりにするという、先月号の反省はどこへ?という感じの酷さ。みつ夫よりもあの雷親父が災難だ。
  17. ゆうれい島(小二 68年07月号):夏の行楽話であると同時に、夏らしいホラー話。この3人は結構仕事以外でも一緒に遊んでるな。相変わらず臆病で怖がりなみつ夫だが、この話ではひさびさに、みつ夫一人で事件の謎を解き明かして、人の命まで救った。
  18. 絵日記はかけたけど(小二 68年08月号):前月まではかなりしっかりしたストーリーの話だったのに、ここでいきなり低年齢向けのテイストになったのは気のせいか。実は小1用に作った話なのかも。ヒーロー要素とギャグ要素を適度にブレンド


【小学三年生編】

  1. パーマン登場(小三 66年12月号):今や伝説となった、「マスク違い」の小三版第1話。マスクのデザインが違うだけで、かなり印象が違う。スーパーマンも何だか変態っぽいデザインだ(笑)。円盤も何かおかしい。正体バレは死ぬとか、力は6584倍とか、ソックリロボットとか、設定の違いも多々見られる。
  2. ママが二人に! (小三 67年01月号):そしてお馴染みのデザインに。たった1ヶ月でこんなに垢抜けた雰囲気になるもんか。話は、敵との戦いは全くなく、コピーロボットによる大騒動。なんか「苦し紛れに飛んでっちゃった」とか、ごまかし方がムチャクチャで笑える。
  3. バナナと拳銃(小三 67年02月号):2号と二人で、横浜で拳銃密輸の捜査。最初にしてはかなり本格的な戦いだ。いろいろとやらかしてピンチに陥るが、その後のリカバーがなかなか賢い。この事件で新聞に掲載され、パーマンが世間に知られるように。
  4. パー子登場(小三 67年03月号):「小三」版パー子登場話。サンデー版「はじめましてパー子です」の単行本収録時にこの話の「オタンコナス」のくだりが追加された。何とか協力して事件を解決し、サンデー版とは違い最後はパー子と和解。小三向けだからか。
  5. パーマンは悪い子(小三 67年04月号):パーマンがママに嫌われ気味(当たり前だが)なので、手を尽くして理解してもらおうとするが・・・。路頭に迷ったみつ夫に泣いて同情し、エサで養おうとする2号が優しい。だが、確かに「ありがたいけどみじめ」だ(笑)。
  6. 国際陰謀団スベッター(小三 67年05月号):ギャグ傑作。パーマンを利用して経費を浮かせようとする、セコすぎるホテルの社長。パーマンの頭の悪さを利用したわけだが、彼の想像よりもパーマンは頭が悪かった。オチは爆笑ものです。
  7. 怪人ネタボール(小三 67年06月号):かなり手強い敵、怪人ネタボールとの戦い。みつ夫に幾度も命の危険が迫る。相手に幻覚を見せるうえ、暗闇でも見える眼をもつ敵と戦うカギは、ポップコーン・・・。パーやんがいなくてもここまでやれるのね。
  8. 無人島で暮らそう(小三 67年07月号):夏のお出かけ。あれほどの家を建てたのはすごいが、結局現代っ子たちが無人島でサバイバル生活なんてできるわけもなく。最後は頭がおかしくなったらしい(笑)。
  9. おれをパーマン5号にしろ(小三 67年08月号):家出人誘拐犯との戦いのストーリーがメインで、カバ夫のパーマン5号志願はおまけ程度。カバオが特に役立ったわけでもない。最後、マスクかぶるところは運転席から見られたんじゃないか?
  10. 火の海からの脱出(小三 67年09月号):かなりハードな事件。座礁したタンカーの乗組員を助けにボコデコ諸島沖に向かうが、あるきっかけで重油が引火して火の海に。あそこまで燃えたら、火から逃れる前にCO中毒でやられてしまいそうな気もするが。ミツ夫一人の活躍で見事解決。
  11. マント騒動(小三 67年10月号):落としたマントが泥棒に盗られて騒動に。パーマンの正体を偽装して新聞にも載ってしまったが、これでミツ夫=パーマンの疑惑が払拭できるならもっと早くやっとけばよかったのに。
  12. こおりついたパーマン(小三 67年11月号):横長判型。とじこみ別冊形式か。冷凍ピストルを使う強盗・アイスマンとの戦い。実際に凍りつくほどの冷気を浴びたら命に関わるのでは。珍しくミツ夫が頭脳戦で勝利。
  13. ひみつのクリスマス(小三 67年12月号):何の事件も起きない、クリスマスのほのぼのとした話。パーマンがこうして一般人に感謝する会を開いてもらえるなんて、全作中唯一の事でしょう。よかったなミツ夫。
  14. 冬は南の島で(小三 68年01月号):冬に南の島で海水浴、と思いきや、パー子とブービー土人(!)に食われかけるというものすごい展開。鍋の中でパー子はマスクを取られており、ブービーは正体見ちゃってるんじゃないのか?絶妙なタイミングでソースをかけられて、結局正面顔は見えない。
  15. 5号のママの誕生日(小三 68年02月号):学年誌では唯一の、パー坊メインの話。そもそも「小三」での登場はこの1話のみ。説明もなく登場するのも、TV放送中だからでしょう。随分しゃべれるようになって、登場時より成長してるような。
  16. みつ夫のひょうばん(小三 68年03月号):コピーロボットに座らせて説教したり、コピーが立派な人間になる決心もしてもしょうがないだろうに。結局全部自分に跳ね返ってくるという話でした。
  17. ケチ社長(小三 68年04月号):ケチおやじをパーやんが戒める話。ケチと言うかもう頭がおかしいレベルだこれは。あんな人間がまともに会社を経営できるとは思えないけど、見た感じ普通の人たちが普通に働いている会社。そっち方面の才能はあるのかね。
  18. 二人組のサギ師(小三 68年05月号):マスクとマントを狙う、かなりずる賢い知能犯現る。パーマンを頭の悪い子供にやらせとくからこういうことになる・・・。最後は、卵程度でよかったね(笑)。
  19. パーマンけんかしよう(小三 68年06月号):パーマンに勝って強さを認めてもらいたい。ヒーローには、こういう困った奴も寄ってくるのだ。だが、八百長してくれと頼まないあたりは卑怯さがなくて偉い奴だと思う。パーマンからしたらいい迷惑だが。
  20. とれないマスク(小三 68年07月号):おにぎりをマスクの中に入れた程度であんなに接着しちゃうもんか? それはともかく、パー子の強引なマスクの取り方がやばい。6600倍の力でやったら冗談抜きで首もげるよ。
  21. 山火事で涼しく!?(小三 68年08月号):また火事話。しかも真夏なので、全体的に暑さと熱さでイライラしてる様子。前の火事で見つけた大ジャンプがここにも登場。ミツ夫はタイトル通り、山火事で暑さを克服したらしい。(2012/2/5 記)